社会福祉法人 芙蓉会

地域小規模児童養護施設とは
- (1)目的
- 地域小規模児童養護施設は、地域小規模児童養護施設設置運営要綱により「現に児童養護施設を運営している法人の支援のもと、地域社会の民間住宅等を活用して近隣住民との適切な関係を保持しつつ、家庭的な環境の中で養護を実施することにより、児童の社会的自立の促進に寄与することを目的とする。」と規定されています。
地域の中での生活体験を基盤に、より個別的な関わりを持ちながら、個別ニーズに沿ったサービスを提供し、社会的自立を目指す少人数による養護形態なのです。
家庭的養護とは、特定の職員との長期な安定した愛着関係が確保できる「ふつうの生活」を保障できるものです。
- (2)意義
- 職員も含め地域生活への参加を自然な形で体験できます。職員が地域活動に参加することで地域活動が活性化しますし、職員による地域における子育て支援が期待できます。
地域の中で施設が理解されることで、子ども・施設に対しての特別視が消えます。
少人数により、一人ひとりの求めに応じた対応が期待できます。
地域小規模児童養護施設の課題
- (1)施設の位置づけ
- グループホームでなく地域小規模児童養護施設とした意義が重要です。地域分散型施設として施設形態の変革を目指すものです。
・現状では完全に独立した施設とは言えず、本体施設の基準に影響されています。
・県の指定を毎年受ける必要があり、立場が不安定であり、子どもの安定にも影響与えます。
・本体施設の開差是正問題に影響されます。
・独立施設でないため補助金の対象になりません。
・少人数のため事業費の融通性がありません。(今後高校生が半数を超える場合もある)
・独自の予算では修繕等の高額な費用捻出が難しくなります。
- (2)比較対象は一般家庭
- ・子どもの比較対象が一般家庭になり欲求度が増すため、地域の生活水準にあわせた事業費が必要になります。
・入所条件として家庭復帰が難しい子どもですが、一般家庭の児童との交流が増し、保護者との分離を強く意識します。
- (3)地域の生活者になりきれない
- ・児童養護施設の児童は、地域の学校等に通っていますが、その他の場面では、施設完結型の生活になっています。子どもは施設完結型の生活に慣れており、その枠から子ども(職員も含め)が完全に抜け出すには時間がかかります。
小学生は、近所の子どもたちとよく遊びます。お互いの家に行ったり来たりしています。しかし、土日、長期休みは遊ぶ約束がしにくく、家で過ごすことが多くなます。退屈した子どもは「つまらない」を連発し、職員にも精神的に負担になります。
・特別視による精神的負担から解消されていません。(学校等で特別視を体験した子どもは施設であることを隠したがる)
- (4)職員
- 子どもが少なければ、職員が少ないのは当然ですが、職員一人一人の責任が非常に重くなります。それはちょうど核家族の中で養育に対する親(特に母親)の負担が大きい状況に似ています。
・職員の絶対数が少なく、常に綱渡り的状況です。(本体施設もギリギリでありバックアップが難しい)
・単独勤務の時間が長くなり、その場ですぐに相談できる職員がいないため、責任が重くなります。(特に、土日や長期休みの時は子どもと過ごす時間が長く、精神的に負担が大きい)
・単独勤務が多く、広範の能力を要求されます。(職員の養成が難しい)
・補助職員の確保が難しい。(財政的、能力の高い職員が必要)
- (5)地域住民との関係
- ・地域での養育支援は可能ですが、職員配置的に余裕がなく現状では難しい状況です。
・条件的(入所条件)に子どもの家庭に対する養育支援はしません。
- (6)処遇
- ・密室性
単独勤務が多く、密室化しやすい。
・少人数であるが故の難しさ
新しいメンバーの刺激がなく、特定のメンバーの欲求・態度の影響が固定されやすい。
子どもや職員との相性がよくない子どもは疎外感を感じやすい。
(人間関係の持ち方に問題がある子どもを受け入れる職員・子どもにも負担が大きい)
- (7)まとめ
- ・施設を作れば問題がすべて解決するわけでもなく、子どもや職員が新しい生活に馴染むにはそれなりの時間が必要です。
家族の歴史は、ひとつの家族としての成長の過程なのです。
・中心になる職員は、児童養護施設での豊富な経験が必要ですが、新しい施設を運営していく場合、その経験による思い込みが逆に足かせとなる危険性があります。本体施設に付属したグループホームとしてではなく、独立した施設として、独自性を持つことが重要な課題ですから、固定観念を捨てた新鮮な発想と対応が大切です。
・地域小規模児童養護施設に対する子どもの評価はおおむね良好です。生活体験、人間関係、個別対応、友人関係、地域交流等が評価できます。しかし、職員との相性、学校での問題(友人関係)等で本体施設に復帰を希望する子どももいます。ひとつの形で、全ての子どもに対し十分対応できるものではありません。したがって、本体施設の処遇(治療的処遇)とともに小規模施設の個別化(個性化)も必要です。
また、地域小規模児童養護施設は地域分散型児童養護施設の一環として捕らえる必要があり、同一施設内で、地域小規模児童養護施設やグループホームの増設、施設内でのユニットケアなどを総合的に進めることが重要です。
・子どもの欲求は無限ですから欲求度はますます高くなります。6名に対する個別処遇には限界があります。より家庭に近い里親的サービス(個別処遇)が究極的には必要です。しかし、現状の里親制度では、被虐待児等の処遇困難児への対応は難しく、有給のワーカーによる職業的里親制度が望まれます。